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赤や緑、シルバーやゴールドのさざめきを抜け ピアノの歌う藍の空間へ sacred
夜の降りた硝子に映しだされた 幾分かの緊張の薄れた姿 ゆっくりと 指先でレースの波を起こしていたが不意にクスリと笑う。 「気味が悪いな」 「そう?」 思い出し笑い、しないの? 面白がるような からかいを含んだ目 「さぁな」 「…ね、」 半透明の波が揺れる 「なんだよ」 「覚えてる?」 「…主語の欠落は相変わらずか」 でもそうやって聞く姿勢を示してくれる。 「あの頃の跡部」 「あの頃?」 「中学の」 「ああ…」 穏やかな目の色を見なければ あくまでも世間話を聞いているよな 薄い反応。 「ものすごく大人ぶってて」 「………」 「とにかく演出したい!っていう気持ちでいっぱいで」 「………」 「ありえないくらい頑張っちゃってた」 「…ガキだったんだよ」 「でもね、実はそこが可愛いなぁとか私、思ってたりしたんだ」 「なっ」 二の句の継げなくなったのをいいことに 今だから言えることだけどねと笑う。 「3年のクリスマス前に、中庭の大きな木に飾りつけしたでしょう?」 「…あ?」 「まともなツリーも見たことのないお前らに 俺様からの施しだーって」 「……。 覚えてないな」 「あれの工事が始まったのって、私の家にツリーがないって話をした次の日からだったよね」 「だから」 「あの時はびっくりしてなにも言わなかったけど」 嬉しかった。 帰宅間際の時を華やかに彩った電飾は 強く胸を打って 「跡部がサンタクロースに思えた瞬間だっ…、え?」 「黙れ」 「怒った?」 「違う」 そうじゃなくて 「じゃあ…」 彷徨おうとした視線の行方は 絡めとり、離さない 「少しは黙れよ」 キスができない。 独り言みたいにつぶやいて まわした腕に力がこもった |
Keep Christmas with you