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カラカラと音を立てた窓から風が吹き込み 机の上にあったプリントをはためかせる。 「おい」と不機嫌な声がしたけれど、はそれを敢えて無視することにした。 眼下の淡い桜色は 新しい学年の開始を告げていた。 t i m e
「もう 半年過ぎたんだね」 浮かんだ言葉をその唇に乗せる 「もう、か」 「やっとでもあるけど」 「…ふぅん」 素っ気なく、けれど返事は来る。 そのことに今更ながら彼の性格を垣間見て は声の主を振り返った。 「ようやく手順も分かってきたのに、あと半分しかないなんてね」 「これからもイベントはそれなりにあるだろ」 「うん。でもさ、今の自分から今までを見て、あの時ああすればもっとよかったんだろうなぁとか ―やっぱ思っちゃうわけなんだよね」 「………」 「どうせなら、充実してたなぁ!って思ってほしいじゃない。 中学生やってられる時間は3年しかないんだよ?」 「……が、おまえなんだろうな」 「うん?」 冷たい印象を与える青みがかった目の前は、どうにも居心地が悪かったから それゆえの幻覚だったのかもしれないけれど 一瞬、それがとけたような感覚にとらわれた。 「ま、とにかくだ」 手にしていたノートをプリントの上におくと 無造作に立ち上がって窓際へと歩み寄る。 「…な に?」 反射的にぎくりと身を強張らせたに気付かぬふりをして 彼女の背に広がる景色を見ようと窓枠に手をかけた あと数分もすれば登校する者たちで賑やかになるだろう桜並木は 春風にその枝をかすかに揺らしている。 「残り半年、今まで以上のサポートに期待するぜ、片腕殿」 見下ろされたの、どこか恨めしげな視線を受けて 彼は人の悪い笑みを浮かべた。 |